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HONDA BEAT 販売前メンテナンス エンジンチェック編②
こんにちは。
今回は、前回に続き、HONDA BEATのエンジン状態チェック編として、エンジンヘッド内部の状態確認と、タペットクリアランスの調整の様子をお伝え致します。
まず、エンジンヘッド内部の状態確認の意味としては、ヘッド内部の焼け具合、汚れ具合、スラッジの付着状況からオーバーヒート歴が無いか、オイル交換は定期的にきちっと行っていたかといったところを確認することができます。
要するに、前オーナー達の車両に対する愛情度合いを知ることができるのです。
また、この車両においては、よ~く聞くとですが、タペット音が少し出ていたのでタペットクリアランスを調整致します。
さて、プラグコードやブローバイガスホース、センサー類の周辺部品を外して、ヘッドカバーを外します。
ヘッドカバーを外したエンジンヘッド内部(上部)です。
びっくりするぐらい綺麗です。
焼けは無く、高温まで上昇した形跡はありませんし、スラッジの『ス』の字も無いくらい綺麗です。
オイル管理は完璧だったと言えます。
ちなみに、下側が車両前方方向でエキゾースト側、上側が車両後方方向でインテーク側となります。
真ん中にカムシャフトが1本通っていて、ロッカーアームが12本出ている、SOHCの12バルブとなります。
エンジンヘッド内部の状態を確認できたところで、タペットクリアランスの調整に入ります。
このタペットクリアランスとは、バルブと、バルブを押し下げるロッカーアーム先端にあるタペットの間の隙間のことです。
このバルブとタペットの間にクリアランスを設けてあるのは、燃焼によりバルブが温まるとバルブが伸びるからで、冷間時に少しクリアランスを空けておいて、エンジンが完全にあったまるとクリアランスが無くなる様に設計されています。
よって、規定値よりも詰まりすぎてきると温間時に突き上げてしまいますし、空きすぎていると温間時でもクリアランスが空いてしまい、タペット音が『カチカチ』としてしまいます。
更に、クリアランスが過大であると、カム山バルブリフト量すべてをバルブに伝えることができず、バルブリフト量が少なくなり、エンジン出力が下がってしまう弊害も発生してしまいますので、このタペットクリアランスは結構重要なんです。
通常は、走行しているうちにタペットも摩耗しますし、クリアランスは広がっていく方向となりますので、規定値までクリアランスを狭める作業となります。
作業中の写真ですが、このようにバルブとタペットの間にシックネスゲージというものを挟み込んで、クリアランスを確認及び調整します。
注意点は、完全冷間時に行わなければいけません。
少しでも温まっているとバルブは伸びた状態となり、規定値に合わせる意味がなくなってしまいます。
また、このクリアランス調整は感覚的なところが大きく、経験がないときちっと規定値に合わせることは難しいのですが、私は、本田技研工業に在籍時にはエンジン開発も行っていましたので、このタペットクリアランス調整はお手のものです。
BEATにおけるタペットクリアランス規定値はIN側が0.13mm~0.17mm、EX側が0.23mm~0.27mmですが、調整前はIN側が0.18mm~0.20mm、EX側が0.29~0.31mmと全てのバルブにおいて少し広がっていましたので、IN側を規定値中央の0.15mm、EX側も中央値の0.25mmに調整致しました。
調整が終了しましたら、再度クランクを回して、規定値になっているかを確認し、閉め忘れが無いか確認して、ヘッドカバーを閉じて終了です。
ちなみに、ヘッドカバーガスケット及びプラグホールパッキンは新品に交換して、角部にはしっかり液体ガスケットを塗布してありますよ。
規定値中央値に調整後はタペット音は皆無で、エンジン音も更に静かになって、調子もバッチリです。
写真を撮ることを忘れていましたが、プラグの状態も全然問題ありませんでした。
また、オイルに関しても、2019年の7月にWAKO’Sのオイルに交換済みで、距離も数百キロしか走行していませんので、交換はしない予定です。
もし、お客様のご要望が御座いましたら、交換してからのお渡しも可能です。
以上、エンジン状態のチェック及びタペットクリアランスの調整も終了し、エンジンの状態が非常に良いことが確認できました。
実際に、BEATガレージのハイオクROMとも相まって、こんなに加速の良いビートは初めて運転しました。
日焼け無し、錆無し、機関状態良好で不具合一切無し。
ここまで程度の良いBEATはもうなかなかないでしょうね。。。
あとは、BEATでは必ずダメになってしまうドア内部のグロメット類の交換をしてメンテナンスとしては終了です。
次回はその様子をお伝え致します。
では失礼致します。